
時間をかけても出汁を作る理由
粉末だしを使えば、手軽に時短で料理が作れる便利な時代、出汁を一から作ったことがないという方も いらっしゃるかもしれません。
粉末だしは時短やタイムパフォーマンスを重視した生活を送る現代人の強い味方ではありますが、和食の醍醐味である出汁について知ることは、料理の基礎を学ぶ大切なステップでもあり、和食の魅力をより深く味わうカギでもあります。
今回は、そんな出汁の作り方について、一緒に深堀りしていきましょう。
出汁の作り方
出汁作りで大事なことは、
- 昆布とかつお節から雑味を出さない
- 香りが揮発しないように湯温に気を配ること
が、ポイントになります。
昆布から旨味を引き出す

昆布ははじめに水と一緒に鍋に入れますが、沸騰させずに加熱することが重要です。
10分ほどで沸騰させるくらいの火加減です。
10分くらい経つと白いアクが出てきます。
アクは料理の風味を損なうため、取り除きましょう。

旨味を引き出せた目安
昆布を持ち上げて爪を立てて筋が入るくらいに柔らかくなれば昆布の旨味を引き出せた証拠。
これくらい柔らかくなれば取り出して、そのまま火にかけて沸騰させましょう。
沸騰させることで昆布の臭みが浮き上がり、取り除くことができます。
これですっきりと洗練された味になりますよ。
もちろん、このとき出てきたアクも取り除いてくださいね。

かつお節から旨味を引き出す

昆布だしを作って沸騰させた後、火加減を弱め、かつお節を加えたら火を止め、沈むまでそのまま冷まします。

かつお節が沈んだら、ザルとキッチンペーパーで濾します。
この時、絞らないように自然と落ちるのを待ちましょう。
これは、出汁が濁らないようにするためです。

これで一番だしの完成です。
この残った昆布とかつお節は二番だしに使ったあと、さらにふりかけなどにも使えますよ。
保存について
このようにしておいしい出汁は時間と手間がかかります。
たくさんまとめて作って、風味を損なわないために、密閉容器で保存するのをおすすめします。
保存期間は、冷蔵庫で2~3日。
冷凍庫では、1ヶ月程度保存可能ですが、風味の劣化を考慮し、2週間以内に使い切ってくださいね。
体にも環境にもやさしい出汁
時間をかけて出汁を一から作る理由は、その奥深い味わいと食材の魅力を最大限に引き出せるからです。
素材からじっくり旨味を抽出することで、香り高く、まろやかで繊細な味わいの出汁が生まれ、市販の粉末だしでは再現できない、複雑で豊かな風味を楽しめるのが最大の魅力です。
また、おいしい出汁があると、塩や調味料などは少ない量で良くなるので減塩になりますよ。
一番だしを作ったあとは二番だしに、二番だしのあとはふりかけに流用でき、環境にも体にもやさしい効果が得られます。
手間をかけることで、料理そのものがより特別なものになり、食べる人にもその思いが伝わるのも、出汁を一から作る大きな理由のひとつですね。